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吹奏楽と矯正治療

楽器演奏による成長期の歯並びへの影響

日本は吹奏楽がとても盛んです。
早くは小学校高学年でのクラブ活動に始まり、中高生の部活ともなると演奏時間も増え、かなり本格的に活動されています。この時期は成長期とも重なるため、歯並びや口元はどんどん変化していきますが、その間ほぼ毎日演奏しているため、歯列にも負担がかかり、歯並びは悪くなる傾向にあるようです。

また、「矯正治療をしたい」と思っても、演奏に差し障りが出ないか心配で、治療に踏み切ることができないという患者さんも多くいます。

「吹奏楽を続けながら矯正治療できますか?」

当院では、上記の質問を患者さんご本人や親御さんからよく受けます。
多くの場合、数週間から1、2か月以内には、矯正装置を付けての演奏に慣れると思います。また練習すればするほど、より迅速に違和感は無くなることでしょう。

しかし、その患者さんが吹奏楽に真剣であればあるほど、こちらも真剣に向き合わなければならないと考えています。例えば、コンクール出場や音大受験などを控えている場合は、不用意に「大丈夫です」とは言えません。
唇の振動やタンギングなど、口元の少しの違和感でも演奏に影響すると心配されることでしょう。

当院では、一般的な表側の矯正から、裏側の舌側矯正、マウスピース型の矯正治療まで、幅広い治療方法をご提供していますので、患者さんの楽器によって最も良い治療方法を一緒に考えていきたいと思っています。

当院の管楽器奏者の患者さんへの対応

固定式の矯正装置で本格的に治療を開始する前に、試しに矯正装置を装着してみるのも一つの方法です。
金管楽器の場合は、歯の裏側の矯正装置を選択すると比較的邪魔にならないこともあります。
症例により可能な場合には、着脱式のマウスピース型矯正装置(インビザラインなど)も検討できると思います。

抜歯をした箇所からの息もれがご心配な場合は、仮歯をご用意いたします。
また、奏者はしばしば顎関節症のお悩みもあり、その際は専門の医師をご紹介して、その症状で矯正治療が可能かどうか判断していただいています。

治療の開始の時期やワイヤー調整のタイミングなど、患者さんのスケジュールに柔軟に合わせて、できる限り演奏に支障の出ないような治療計画を立てていきます。

音楽を大切にする気持ちに寄り添った治療を

院長は4歳から18歳までクラシックピアノを習い、学生時代はアマチュアオーケストラですがコンサートマスターも務めていました。従って、患者さんの音楽を大切にしている気持ちを理解し、患者さんの演奏活動と矯正治療をどのように成立させるか、矯正医としてしっかり考えていきたいと思っています。
お悩みやご心配など、ぜひ当院院長へご相談ください。

音大生の治療例

ここでは、都内の音楽大学のサクソフォーン専攻科に在籍している患者さんの治療をご紹介していきます。

高校は吹奏楽の盛んな学校で週7日練習をし、夏休みなども毎日部活があったため、矯正治療を始めるタイミングが無かったとのことです。また、音楽大学に進学を考えているとのことでしたので、受験が終わり大学に進学してから治療を開始することになりました。

  • 1.カウンセリング

    患者さんは、永久歯が生え揃った当初は歯並びが良く、まさか自分が矯正治療をすることになるとは思いもよらなかったと言われました。歯と顎の大きさのアンバランスにより、成長とともに次第に口元が前に出てきて、かみ合わせや活舌が悪くなってきたこと、また、12歳からサックスを演奏するようになり、下の歯並びが崩れてきたことを主訴に来院されました。

    演奏に支障が出ることを心配され、マウスピース型の矯正治療も選択肢として考えているとのことでしたので、詳しくご説明しました。また、長く顎関節症のお悩みがあるとのことで、それも含めて詳しく検査をすることにしました。

    未成年や学生の患者さまへのお願い

    当院では未成年や大学生の患者さまの場合、初診相談や診断などでは必ず保護者さまの同席をお願いしています。
    矯正治療は、期間や費用の問題をはじめ、矯正治療に伴い抜歯などを要する場合もあり、未成年者や、成人でも保護者さまの扶養下にある学生などの場合には、法的に契約能力が認められていないということも含め、保護者さまの同意がなければ矯正治療を開始できません。
    初診相談では、矯正治療に関する方針、期間、矯正装置、費用などの概要のご説明をいたしますが、これらの概要にご理解をいただいてはじめて検査〜診断へと進めます。
    また診断では、検査結果に基づいた具体的に矯正治療の計画のご説明をおこない、治療開始のための最終的な同意をいただく必要があるため、矯正治療上の要点となる段階では必ず、保護者さまの同席をお願いしています。

  • 2.検査

    検査時間は約1時間程度、セファログラム(横顔や正面のレントゲン写真)、顔写真、歯並びの写真の撮影や歯並び全体の「型」の採得(印象採得)を行いました。

    また、レントゲンで顎関節形態の左右差が著しかったため、顎関節症の詳しい診断のために、口腔外科の大変信頼できる先生をご紹介しました。

  • 3.診断

    コンピュータプレゼンテーションで、診断の結果をご説明します。
    こちらの患者さんの場合は、検査の結果、上顎2本と下顎2本の第1小臼歯の抜歯が必要と判断し、取り外しできるマウスピース型の矯正治療より、固定式の矯正装置での治療をお勧めしました。

    また、顎関節症の詳しい検査結果でも、矯正治療可能と診断されたため、安心して治療を進めていけることをご説明しました。

    サックスはリードを使う木管楽器のため、表側の矯正装置でもそれほど邪魔にはならないのではないかとご提案しました。患者さん本人も、裏側の舌側矯正だとタンギングがしにくくなるだろうとのことで、表側での矯正治療を選択されました。

    診断時にも保護者の方の同席をお願いしていますが、診断にて確定した治療方針に同意をいただいた以降は、ご本人のみの通院で差し支えありません。

    “金管楽器(トランペット)を演奏している患者さんの舌側矯正の治療症例”はこちら

  • 4.抜歯

    抜歯が怖いという方もいますが、最近の若い患者さんは「口元を下げて横顔をきれいにしたい」という希望があり、抜歯に対して非常に前向きです。

    ですが、こちらの患者さんからは、以前親知らずを抜歯した際にかなり腫れたと聞いていたため、1本ずつ回数を分けて抜歯を行うことにしました(患者さんによっては右側上下、左側上下の2回で対応する場合もあります。)

    抜歯1本の時間は、早い時は10分かからないくらいでしたが、非常に歯根が長い1本だけが、親知らずの抜歯のように時間がかかりました。

    抜歯後の痛みについては、抜歯部位によってさまざまでした。
    一番抜きにくかった右上の歯は、しばらくの間腫れて痛みがあり、数日間鎮痛剤を服用したとのことだったので、2回目の上の歯は傷口を縫う処置をしたところ、翌日1日鎮痛剤を飲んだだけで痛みが引いたそうです。
    その他2本については、抜く際も10分とかからず非常に簡単で、痛み止めも必要としなかったということです。

    演奏の際、抜歯部分から息もれがあるのではないかと心配されていたので、当初は仮歯を付ける予定でいましたが、実際は全く支障がなかったということで、仮歯はやめることにしました。

  • 5.矯正装置の装着

    まずは上の歯で装置に慣れてから、1か月後に下の歯に装着することにしました。

    当院では毎回、専用の機械によるクリーニング「PMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaning)」を行ってから治療に入ります。
    装置の装着は、30分から1時間程度、処置の時間は患者さんの症状によって個人差があります。


    装置の装着の様子

    ブラケットが半分付きました

    下は、装着直後の患者さんです。
    当院では、矯正装置が目立ちやすい前歯はセラミックブラケットを、装置が目立たない奥歯は金属製の矯正装置を使用します。
    また、ワイヤーも目立たない方が望ましいので、当院では処置内容から可能な際にはできるだけホワイトワイヤーを使用するようにしています。
    患者さんは装置が思っていた以上に目立たないことに、笑顔で喜んでいました。


    「まずは上の歯に装着しました」

    「思ったより目立ちませんでした」

    こちらの患者さんの場合、装置を付けた翌日から3、4日間は奥歯が痛かったそうですが、痛み止めを飲めば収まる程度だったようです。
    楽器の演奏は痛みが完全に取れてから再開したそうですが、演奏はすぐに慣れたものの、当初は矯正器具が当たるところに口内炎ができやすかったとのことです。ブラケットには矯正用のワックスを付け、患部には市販の口内炎パッチで乗り切り、2週間も経った頃には矯正治療前と変わらずに演奏できるようになったそうで、もっと早くから矯正治療をすれば良かったと仰っていました。

    ※装置に慣れるまでの期間は個人差があります。

    当院の表側の矯正装置について、詳しくはこちらをご覧ください。

  • 6.ワイヤーの調整

    上下の歯に矯正装置を付けてから1か月後、「下の歯のデコボコがかなりきれいになった」と喜んで来院されました。ご自分の中でも日に日に歯列が整ってくるのを感じられるそうです。
    この頃になると演奏には全く支障はなくなり、矯正治療前と変わりはないそうです。

    当院では毎回、専用の機械によるクリーニング「PMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaning)」を行ってから治療に入ります。
    ワイヤーの調整は30分ほどで完了しました。初めて矯正装置を付けた時ほどではなくとも、ワイヤーを調整すると多少の痛みや疼きを感じる方も多いのですが、患者さんは全く違和感がなかったそうです。
    「これでちゃんと歯は動いていますか?」と心配されていましたが、しっかり歯は動いていますので、安心してください。


    下顎には高性能な超弾性ワイヤーを使いました

    「早く歯が後退してほしい!」と患者さん

吹奏楽と矯正治療

患者さんの矯正治療は現在も続いています。毎回、楽しそうにご来院いただき、音楽の話などをしながら治療をしています。

患者さんは、中学・高校は吹奏楽部に在籍し、コンクール出場や演奏会、音大受験など、矯正治療のタイミングや治療と演奏を両立ができるかどうかなど随分悩んでいました。
でも、いざ矯正治療をしてみると、演奏に支障があったのは抜歯の後の数日と、装置に慣れるまでの2、3週間だったそうです。

今回こちらの治療例をご紹介したのは、同じように悩んでいる方へ、矯正医として一つの例をお知らせしたかったことと、こちらの患者さんご本人が同じ音楽の仲間に伝えたいと言ってくださったことから、ホームページに掲載しました。
もちろん装置に慣れるまでは個人差がありますが、当院では患者さんの音楽を大切にしている気持ちに向き合って治療をしていきますので、ぜひご相談ください。

主訴:出っ歯、口元の前方突出
診断名あるいは症状:上下顎前突
年齢:18歳
治療に用いた主な装置:マルチブラケット装置
抜歯部位:上下左右第一小臼歯
治療期間:治療継続中
治療費概算(自費):約100~130万円(治療継続中) ※別途抜歯代
リスク副作用:
個人差はありますが、初めて装置を付けた時は疼痛や圧迫感などが生じます。
リテーナーを使用しないと後戻りがあります。
治療前後の比較で稀に歯根吸収が見られることがあります。
稀に歯が癒着していた場合、動かないことがあります。
不正咬合の状況により、歯肉退縮やブラックトライアングルが見られる場合があります。